会員コラム

中国と北朝鮮の文化が混在する街 中国吉林省延吉市

2015-03-24

93_ext_01_0 延吉市は、中国吉林省延辺朝鮮族自治州にある人口50万人の都市である。北朝鮮との国境付近に位置し、住民の過半数は朝鮮族となっている。日本では北海道旭川市とほぼ同じ北緯42度50分付近に位置する。話す言葉も中国語とハングル語が混在しており、みんなうまく使い分けているようだ。おそらく朝鮮族同士ではハングル語、朝鮮族と漢族では中国語、漢族同士では中国語で話しているのだろう。中国語も訛りがほとんど感じられないきれいな中国語を話す。
日本からの直行便はなく、中国主要都市経由となる場合が多い。私が初めて訪れたのは、2014年12月であったが、その時は北京経由で延吉入りとなった。延吉空港には22時20分に到着したが、12月ともなるとかなり寒く、気温は氷点下20℃を下回る。しかも中国では50万人都市といえば、かなりのローカル都市であり、初めての訪問にはかなりの不安があったのは言うまでもない。ちなみに日本からは韓国仁川経由で行くこともできる(2015年1月現在)。
私が訪れた時はまさに真冬の寒さであり、夜に外を歩くと耳がちぎれそうになるほど寒く、顔が寒さで硬直してきてうまく口が動かなくなるほどである。寒さで体に力が入るため息を止めて寒さに耐えるからだろうか、たまに頭がクラクラするのだ。このような寒い感覚は久しぶりに味わった。時には雪が降ることもあるが、最近では滅多に積もらないという。
 街の中心にはいくつかの大型百貨店があり、多くの飲食店や専門小売店等が軒を連ねるにぎやかな街並みも見ることができる。大型百貨店には巨大なオーロラビジョンを備えているところもあり、大音響でCM等が流されていたり、日中は活気に包まれている。夜になるとビルはイルミネーションに包まれる。街には大きな河が流れているが、その河に沿って立っているビルはLEDで装飾されており、夜になるイルミネーションが点灯されるのだ。冬は空気が冷たく、余計にネオンが際立って美しく見えるのは寒さのせいだろうか?冬に訪れた際にはぜひ河まで街並みを見に行ってほしい。但し、寒さ対策は忘れずに!
街の特徴といえば、やはりハングル語である。ほぼすべての看板の表示は、中国語とハングル語の併記で表示がされている。聞くところによると併記することが決められているとのこと。さすが朝鮮族の街であり、北朝鮮がすぐそこの街である。街には延辺大学という超難関総合大学があり、日本語を学ぶ学生も多くいるという。
 私の感じたところではあるが、意外と日本人には馴染みやすい街である気がする。やはり朝鮮族の街であり、漢族とは違う人間像を垣間見ることができるからだろうか?あまり訪れる機会のない街ではあるが、機会があれば訪れてみても良いのではないかと思う。

ワールドビジネス研究会 会員 廣井正義